いさぢちんメモ

d.hatena.ne.jp/mosshm/より移行。

ラノベと電子書籍

ライトノベル電子書籍との相性がよい、という主旨のエントリをいくつか読んで。
主張を要約すると持ち運びに便利という「可搬性」、何を読んでいるか周囲に分からない「隠蔽性」をメリットして挙げていたのだけれど、それらはべつにライトノベルに限った事では無し。小説だしどんなにいいかげんに読んでも1日に何冊も読めない、外出の空き時間に読む程度ならせいぜい1冊持ち歩けばいいので、スマフォならまだしもタブレットと比較すれば可搬性に優れているとは言えません。また何を読んでいるか知られたくないというのも、どんな本でも気にする人は気にするし、だからブックカバーを掛ける人がいるんだと思う。ラノベの場合は主に表紙を汚さないために掛けるわけですが。

そんなわけで。今まで何冊かライトノベル電子書籍で読んできて、むしろライトノベル電子書籍は相性が良くないのでは、と僕は思っているのですよ。

ページめくりの遅さ

ライトノベルほど、ページを戻って読み返す頻度の高い小説はないと思う。登場人物の多さ、専門用語の複雑さから、戻っては新キャラの登場シーンを再確認したり、うろ覚えな用語の説明が記載されている部分を探したり。主要登場人物が冒頭にまとめて書かれているレーベルもあるし、口絵がその役を担っている場合もあるけれど、結局それを見るのにも、現在読んでいるページに栞を挟んで、最初に飛んで〜、という作業を行わねばならず、ページめくりの遅さがネックに。

最近Kindleアプリでは全文検索機能が追加されたので、読み返したい部分を探す手間はだいぶ省けるようになったけれど、リアル書籍でいうところの「紙の厚さ」などで場所を何となく把握してして、そこそこの精度で該当ページを即めくる、みたいな事が出来ないのは辛い。

このへんの、登場人物や作品固有の専門用語に関しては、作品ごとに簡易な辞書を実装できればリーダビリティがずいぶん向上すると思う。Kindleのアプリでは本文長押しで選択すると辞書が引けるけど、そこに作品固有の用語も出てくる、みたいな。

ザレゴトディクショナルで用語を引きながら戯言シリーズを読んでみたい。

挿絵

ラノベの挿絵って結構重要度は低くて、別にあってもなくても困らない物ってイメージですが、ごくまれに挿絵を効果的に使って本文と切り離せないほどの重要性を持つものがあるのです。たとえば、「はがない」のジェットコースターのページだったり、「のうりん」のオチに使われる部分だったり。印象深いのでは「泳ぎません。」でバンク的に使われているプールのイラストなども。

そういった挿絵の場合、挿入箇所によってはリズムを崩す原因になりかねないし、現状の電子書籍はページ単位で捲っていくので、挿絵の前には不自然に空白が生まれますが、それが「直後に挿絵がある事を表している」ため身構えたり、集中が途切れる事にもなりそう。

電子書籍なんだから実際のページ数に意味は無いし、もうページ単位で捲っていくインターフェイスでなく、巻物のようにシームレスに横スクロールしていく物になってくれないだろうか。そうすれば、挿絵による不自然さは解消されると思う。

規制?

だいぶ前のことですが、GA文庫の中の人がこんな事を言ってました。

国外から購入できないストアの電子書籍でも同じなんでしょうか。とか、その規制は自主的なものなのか、それとも電子書籍特有のものなのか、とか疑問は尽きませんが、ライトノベルの挿絵のようなそれほど過激ではないものでも、物によっては規制されちゃうってどうなんでしょうかね。

さらに、紙との差違

やっぱりイラスト関連になりますが、挿絵のような一枚絵ではなく、本文の下部に小さく挿入されているイラストってありますよね。GA文庫の「あるいは現在進行形の黒歴史」のちびキャラや、あとは章題の下にイラストが付くものもあります。

こういった本文と一緒に載っているイラストが、電子書籍では省かれている事がほとんどなんですよ。あんまり数を読んでないし、「ある黒」に関しては試し読みでしか確認してませんので、ちゃんと掲載されているものもあるのかもしれませんが、文字とイラストを同時に扱うのが苦手なのでは、という印象を受けます。

ところで、GA文庫電子書籍では口絵に文字入れがされていないものが多いと思うのですが、なにか理由があるんでしょうか。

じゃあ何が利点なのよ

って考えると、僕が考えるところだと、ただ一点。

新品で入手できない旧作を正当な対価を支払って読む事ができるところ、くらいですか。いくら新品で入手できないといっても、古本を買うのは後ろめたいですからね。もっとたくさん電子化されればいいと思います。アレとかソレとか。

しかたなく古本で買った本は電子書籍で買い直したい。