ラノベファンに質問があるらしい
不真面目に答えるよ。
この増田とぼくとでは生きてきた時代が違いすぎるようだし、ライトノベルが何かという認識すら違いそうなので、あまり参考にならないかもしれない。ぼくは、80年代に両親の本棚にあった赤川次郎や藤川桂介や氷室冴子などを読み、そこから現代で言うところのライトノベルというカテゴリの小説群を好むようになった。その後、自分から銀河英雄伝説や青帯の角川文庫を買いあさるようになる頃にはどっぷり浸かっていて、そのうちドラゴンマガジンが創刊し風の大陸やスレイヤーズに衝撃を受け、そのままずるずると富士見ファンタジア文庫や角川スニーカー文庫の本を読んでいた、そんな世代。
いつ頃ラノベから離れたか記憶にないけど、気付いたら興味の対象が時代小説やミステリに移っていたな。それらも今から思い出すとライトノベル的であるかどうかで読む作品を選んでいたと思えるので、大して嗜好は変わってないのかもしれない。あー、いや、両親の本棚を漁って読んだ吉川英治や吉行淳之介なんかはラノベっぽくはなかったけど。
そのあとで自覚的にライトノベルへ戻ってきたのは「マリア様がみてる」が切っ掛けだったのだけど、そのライトノベルから離れていた90年代後半から00年代初期あたりの知識がほぼ皆無なのは今でもコンプレックスになっていたりいなかったり。
さて。
ラノベしか読まない?他の小説は読む?それは何故?どこに魅力を感じている?
ラノベって何だろうな。それはレーベルによって決定付けられるのか、イラストの有無か、作家性か、いろいろ基準があるけれど、僕の考えている一番ざっくりとした区分で言うと「先鋭化したジャンル小説群」だ。魅力を感じるのは、その常に時代の先端を行く尖りきった感性と若者文化を貪欲に吸収する姿勢。
ラノベ以外の小説を読むかどうか、それは観測者によって答えが異なる。自分ではラノベを読んでいるつもりでも、あなたがそれをラノベと認識するかは分からないからだ。
娯楽小説である以上は、ライトノベルとして認められる要素は備えていると思う。しかし、そもそも一般ってなんだろうな。古臭い価値基準で書かれた年寄りしか読まないような小説だったら、それとラノベはやはり根本から違うと感じるんだろうか。原義で言えばライトノベルとはその作品に対する言及の軽さや手に取る際のハードルの低さであったように思うので、一見して重苦しく人を寄せ付けないようなモノも、やはりライトノベルとは言いがたいかもしれない。
ラノベで、パロディ要素が殆どを占めるようなものはどう思っている?
時事ネタはすぐ風化するぞ。*1
後々になって読み返したとき、その風化度合いを含めて楽しめるのではないだろうか。作品の書かれたその時代の生の空気が文章の中に息づいているのだ。
「ラノベ」はジャンル名称ではない。ある特定の傾向を持つ小説群をカテゴライズするために便宜上付けられたものであると思えばいい。自分が「ライトノベルが好きだ」と理解していれば、書店へ行ってライトノベルが並んでいる棚から買っていくだけで、だいたい好みの作品にぶち当たる。そう大ハズレはしないはずだ。ネットでラノベの杜をみて読む作品を決める、とかでも可。なので不要ではないと思う。ライトノベルという呼称が嫌なら「ヤングアダルト」でも「青少年(少女)向け小説」でも好きなように呼べばいい。角川だと最近は「キャラクター文芸」などとも呼んでいるのでそれでもいい。ジャンルに寄らず、好みの作風をまとめて語る上で便利な言葉として利用しているのだ。
*1:ピクニックだ!