いさぢちんメモ

d.hatena.ne.jp/mosshm/より移行。

沼津市 引手力命神社 (大瀬神社)

伊豆七不思議の一つ、海から15メートルほどしか離れていない場所で、潮の干満に影響され水位が変化する淡水池、神池。
そんな神秘的ともいえるフレーズに興味を持ちまして、この神池のある沼津市は大瀬崎の引手力命神社、通称「大瀬神社」へ行ってきました。

近くにある有料駐車場*1から徒歩で10分ほど。今では有名なダイビングスポットになっているそうで、黒ずくめのダイバー達が群がる浜辺脇の小道をひたすら歩いた先に大瀬崎神社があります。


階段を上った先に拝殿があります。

この拝殿の頭貫上部に天狗と思われる彫刻があります。また屋根の方には烏天狗のような造型も。引手力命と天狗との関係は不明。そういえば、神社の入口に奉納された天狗の葉団扇を模った置物があったり、登山口でもないのに階段の下に鉄下駄があったりしたので、あまり深く考えなくてもいいのかもしれません。

御祭神である引手力命は、684年の白鳳地震の際に土佐国で山が崩れ水が湧き多くの土地建物が海中に没し、その後突如として海中より隆起した島々を力づくで引っ張ってきて島を作ったとされる伝説から、ここに祀られているそうです。由来から海神のようですが、よく似た名前の引手力男神社の祭神、手力男神は岩戸開きの神話で有名で力が強いとされることから関連性はあるも、同一ではないような気がします。

それよりも、こちらの方が面白かったです。

絵馬殿。絵馬はあまり奉納されていませんでしたが、中には漁船の模型などがあり、漁師町という土地柄から、おそらく豊漁や海上の安全を祈願して奉納した物であると思われます。

祭壇の左右に漂着物と思われる流木のようなものが祀られています。

不思議な形をした漂着物を神様として祀り豊漁を祈願する民間信仰がありますが、それのように見えます。エビスさまですね。

さて。ここから先は拝観料100円払ってから岬の奥へと。

岬の外周をぐるっと回るように整備された遊歩道を歩き、社叢のビャクシン樹林を散策します。このビャクシン樹林は国指定天然記念物でもあり、130本ほどが自生していて中には樹齢千年を超す老樹も見られるそうです。

ビャクシンの樹林を少し歩くと神池に到着します。

向かいに見える樹林のすぐ奥は海。たしかに海のこんな近くに淡水の池があるというのは神秘的ですね。

しかし。

なかなか良い雰囲気なんですが、観光地としても有名なので、神池に棲む淡水生物――鯉やフナ、ナマズが棲息しているそうですが――のために鯉のエサを売る自動販売機があったり、観光客の皆さんががこぞってエサを与えていたり。

ごめん、ちょっと怖い。

なお、神池だけあって池明神を祀り信仰も篤く、また池に入り魚を害すれば神罰覿面。禁を犯したものは心神喪失、その他不慮の危難に遭遇し死ぬ、と実例ありで言い伝えられているそうですが、そんな理由からか、もしくは自然の破壊を苦慮してか調査は進んでおらず、今もって何故この海辺に淡水池があるのかはわかっていないそうです。

お次は最後のスポット、ビャクシンの御神木へ行きましょう。

再びビャクシン樹林の中の遊歩道を歩いて行きます。

御神木でなくとも立派な樹木が沢山あります。

手前に見えるのも立派な古木ですが、観光客のみなさんが集まっているあたり、ひときわ立派な樹が見えてきました。

御神木の夫婦ビャクシンさんです。
周囲7メートル、推定樹齢1500年以上の岬随一の大木。古くは大瀬の岬を航行する漁船の目印にもなり海上安全を守護していたのでしょう。堂々としたお姿に畏敬の念を抱きます。


.。oO(入りきらなかったのでズーム付けた別のカメラで。)

拝殿、絵馬殿、神池、ビャクシン樹林に御神木と、一カ所で4回おいしい、たいへん楽しい神社でした。

*1:1時間300円、2時間まで500円。ちょっと高いけど、夏には海水浴場になる場所なので仕方がないかも。