「好きなライトノベルを投票しよう!! 2012年下期」
好きラノ - 2012年下期 への投票エントリです。
先日、2012年に読んだライトノベルのまとめを書いたばかりなので、各作品の紹介、感想文が若干投げやりだったり分量が偏ってたりしますが、そのへんはお察し下さいということで。
スワロウテイル序章/人工処女受胎 (ハヤカワ文庫JA)
- 作者: 籘真千歳
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 2012/09/07
- メディア: 文庫
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生殖行為により感染、病状を悪化させる病「種のアポトーシス」に罹患し、男女別に隔離されメガフロート「東京自治区」に住まう人々と共にある、第三の性「人工妖精」たちの物語。
前二作の前日譚であるこの序章では、主人公「揚羽」の学生時代が語られる事になる。舞台は人工妖精用として設立された格式高い扶桑看護学園。全寮制のこの学園では生まれて間もない人工妖精達を二年の月日をもって清く正しく躾けられる。二年生の先輩方は一年生を義妹(プリ・フロ)とし生活指導を担当し、義妹達はお姉さま(エルダー・フローレンス)方を敬愛する。ぶっちゃけマリア様がみてる。
二年生の揚羽はお姉さまとして一年生の雪柳の指導担当となるが、明るく元気で「走る天災」の異名を持つ雪柳に振り回される事になる。
雪柳かわいいよ雪柳。
前二作からは想像もつかなないストーリー展開ではありますが、根っこの所ではシリーズ一貫しての人工妖精たちの心の有り様がテーマになっているので、そちらのほうも安心してお楽しみいただけます。
異能バトルは日常系のなかで 2 (GA文庫)
- 作者: 望公太,029
- 出版社/メーカー: SBクリエイティブ
- 発売日: 2012/10/13
- メディア: 文庫
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ある日突然異能に目覚めちゃった厨二病の少年が、世界の命運をかけた異能バトルに巻き込まれちゃったりする事など全くなく、のほほんと今までと変わらぬ厨二病な日常を送る物語……の第二巻。
猫にはなれないご職業 2 (ガガガ文庫)
- 作者: 竹林七草,藤ちょこ
- 出版社/メーカー: 小学館
- 発売日: 2012/11/20
- メディア: 文庫
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ハードボイルド猫又陰陽師の退魔もの第二弾。
陰陽師の家系に産まれたが一般人として育てられたヒロイン(?)の桜子だが前作の事件により、敬愛していた祖母と同じく陰陽師となる事を決意する。が、何の知識もなくやる事はすべて空回り。そんな折り、修行と称して赴いた曰くありげな廃屋で一人の少女と出会う――。
ヒロインの親友にして腐女子の命(みこと)、桜子に正体を知られないようにしながらも彼女を守る猫又のタマ、この二人の視点で語られるストーリーはコミカルであり、泥臭くもあり、絶妙なバランスで楽しませてくれます。イロモノのような取り合わせですが、その実そうとう裏設定を煮詰めた怪異物の面もあり。今作では家族愛、人情話でほろりとさせられます。
ちょうオススメのシリーズ。
俺はまだ恋に落ちていない 4 (GA文庫)
- 作者: 高木幸一,庭
- 出版社/メーカー: SBクリエイティブ
- 発売日: 2012/11/14
- メディア: 文庫
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友人、田所から二人の妹を紹介された事からはじまった青春ラブコメの最終巻。
夏休み、みんなで楽しく無人島へキャンプへ行き楽しむも、主人公「赤井公」は進路の事、そして二人の事に悩む日々を送る。そんな折、田所姉妹に財閥の御曹司との縁談話が持ち上がる。赤井はお見合いを阻止しようとするが……というお話。
普段は田所姉妹に振り回されっぱなしで愛憎入り乱れた修羅場の渦中にいる事の多い主人公は、たしかに優柔不断で頼りない、二人のどちらもまだ選べない、そんな男の子だけど、けっして勇気がないわけじゃない。子供っぽいわがままかもしれないけれど、家の都合でお見合いをさせられる事をよしとしない姉妹のために、現実に真っ向から立ち向かう。そんな好感の持てる主人公でした。
サエズリ図書館のワルツさん 1 (星海社FICTIONS)
- 作者: 紅玉いづき,sime
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2012/08/17
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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戦争により文明が荒廃した世界。紙の書籍は過去の物として希少性を高め、書物は完全に電子書籍へと移行した未来で、本がどう生き残っていくのか。そんなテーマを扱ったガチなSF。
本を中心にしたハートフルな短編連作ではあるけど、都市部の荒廃ぶりと郊外の長閑なさえずり町のギャップ、随所に見られる暗澹とした描写が不安を掻き立てる。電子書籍元年であり震災後の今だからこそ読みたい物語だと思いました。
雪の翼のフリージア (電撃文庫)
- 作者: 松山剛,ヒラサト
- 出版社/メーカー: アスキー・メディアワークス
- 発売日: 2012/09/07
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名作「雨の日のアイリス」の作者による新作。
翼を持ち、その翼による飛翔能力により個の優位性を得られるような、そんな世界のお話。
かつて天覧飛翔会において優勝候補になるほどの実力者だった少女・フリージアであるが、事故で翼を失う。それでも飛翔士であることを諦められず、再び空を飛ぶため義翼職人のガレットの元を訪れる。義翼で過酷な天覧飛翔会に出場するというフリージアの無謀に、ガレットは昔の自分のかつての姿を重ねてしまい、冷たく接するが、彼女の飛翔会に対する熱意に触れ、彼女の力になろうとし、フリージアもガレットの無骨ながら人を思いやる気持ちに気付き、次第に惹かれていく。
地に落ちても誇りを失わず、必死に空へ上がろうとするフリージアに心打たれる作品。
瑠璃色にボケた日常 (MF文庫J)
- 作者: 伊達康,えれっと
- 出版社/メーカー: メディアファクトリー
- 発売日: 2012/10/24
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霊障に悩まされている主人公は、ある日学校でも有名な霊能力少女が所属する「お祓い研究会」を訪れるが、そこは「おはらい」ではなく「おわらい」だった。
とか、そんな話。お笑いとお祓い、一見ミスマッチとも思える題材を上手く融合させ、シリアスなパートで沈みすぎないようにコメディで浮上させるような展開が嫌味でなく自然に行われているあたり、これは新人賞作とは思えない上手い作りだと思いました。
友達からお願いします。 (MF文庫J)
- 作者: 清水マリコ,熊虎たつみ
- 出版社/メーカー: メディアファクトリー
- 発売日: 2012/11/21
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女の子が苦手で、とにかく地味に大人しく暮らしていたい草食系主人公が、妙なきっかけで、クラスメイトの完全無欠クール系美少女と仲良くなる話。
多くのラノベ読みが「とうとう清水マリコも魔改造か……」と思った事でしょうが、ご安心下さい。思った以上にマリコっぽかったです。いや、マリコっぽいって何だよと自分でも思いますが、なんというか、日常の中にあるちょっとした不思議が現実を侵蝕していく非日常感というか、登場人物たちの青臭い痛々しさというか、そのあたりは従来の清水マリコさん作品と同様の空気が感じられました。
魔女の絶対道徳 (ファミ通文庫)
- 作者: 森田季節,NOCO
- 出版社/メーカー: エンターブレイン
- 発売日: 2012/11/30
- メディア: 文庫
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和製魔法使いと天狗の少女の物語。
ラノベの怪異物はストーリー上あえて説明しない裏設定を深読みしつつ読むのも楽しみなのですが、この作品はそんな余地もなく蘊蓄語りまくりの伝奇モノでこれはこれで結構満足度が高い。
加えて、人に染まってはいるものの怪異としての価値基準、道徳観の違いを上手く引き出していて、人との隔絶感もさり気に演出してる。とくにもう一人のヒロイン、吸血鬼の方にしても根本的な道徳観が人のそれと異なる事が示唆されていて、良い具合に恐怖心を覚える。
バトル偏重でなく特別強力な異能もなく、ってあたりと、怪異を怪異らしく書いている作品というあたりが好みです。
宇宙軍士官学校―【前哨/スカウト】― 1 (ハヤカワ文庫JA)
宇宙軍士官学校―【前哨/スカウト】― 1 (ハヤカワ文庫JA)
- 作者: 鷹見一幸,太田垣康男
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 2012/07/24
- メディア: 文庫
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地球人類が異星人とコンタクトして十五年。その間、人類は国家、民族、人種の違いではなく自らが地球人という一つの種であると自覚し、強大な銀河文明の一員となり、異星人達は地球に対して高度な技術を無償で提供してきた。だが、その技術に対する見返りは、適性のある人類を兵士として仕上げ銀河文明へ提供することだった。
イメージとしては、瀬尾つかささんの「クジラのソラ」を若干ライトにした感じ、というと分かりやすいかと思います。まだ作中では訓練中でタイトル通り士官学校での描写が主なので、これからが楽しみな作品です。