いさぢちんメモ

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2012年に読んだライトノベル

今年は節制するつもりが去年を超えて319冊*1となりました。
isajiさんが2012年に読んだ作品 - ブクログ

レーベル別

ライトノベルと一言でいっても、その多様性は目を見張る物があり、レーベルが違えば世界が違うという感覚すらあるので、なるべく偏らないよういろんなレーベルに手を出したつもり。旧作新作も関係なく、むしろ積極的に過去の名作といわれる物を手に取った一年だった気がします。

レーベル 新刊 旧作 備考
GA文庫 31 25 56
MF文庫 34 20 54 J,ダ・ヴィンチ
電撃文庫 28 14 42 MW含
ガガガ文庫 34 7 41
ハヤカワ 8 17 25
ファミ通文庫 18 0 18
朝日ノベルズ 5 10 15
富士見F 5 6 11
講談社 6 4 10 ラノベ文庫含
一迅社文庫 6 2 8
角川文庫 2 6 8 スニーカー含
新潮 3 5 8
SD文庫 4 3 7
幽BOOKS 0 7 7
HJ文庫 2 0 2
宝島社 2 0 2
桜ノ杜ぶんこ 1 0 1
星海社FICTIONS 1 0 1
コバルト文庫 1 0 1
Cノベルズ 1 0 1
ジャイブ 0 1 1
192 127 319

今年はGA文庫とMF文庫が多かったですね。GA文庫は特に一年ほど前にBOOKWALKERで読めるようになったため、今まで手を出していなかった「ニャル子さん」や「魔材」などのシリーズを読みはじめたのが多くなった理由でしょうか。MF文庫Jは旧作を結構読んだ気がします。新刊も多かったようですが、ハーレム系はばっさり切ることが多いため今後は減少していくと思われます。もっとも、最近のMFの傾向はハーレム、ラブコメよりもファンタジー寄りになっている気もしますが。

作家別

数が多すぎるので多かった順で上から6人。

1 小野不由美 17
2 森田季節 13
3 葵 東 11
4 笹本 祐一 10
4 蒼山 サグ 10
4 内山 靖二郎 10

リライト版ゴーストハント屍鬼、新潮版十二国記などを読んだためか小野不由美さんが断トツで多かった模様。小野不由美さんの文章は空間描写がわけ分からん以外は大変読みやすく、さくさく進むのでつい読書数が増えるという感じ。
葵東さんは「魔法の材料ございます」シリーズを、笹本祐一さんはアニメ化した「ミニスカ宇宙海賊」、蒼山サグさんのは1巻だけ読んで苦手意識を持っていた「ロウきゅーぶ!」をアニメを観てから再挑戦して2巻以降を読んだため多かったようです。内山靖二郎さんは「神様のおきにいり」「もふもふっ珠枝さま!」あたりをまとめて読んだためか。MF文庫Jが多いのもたぶんこのへんのせい。
よくわからないのが森田季節さんですが、たんに今年の刊行数が多かっただけかもしれません。

2012年のベスト10

あまり順位は付けたくないので順序不同。

スワロウテイル序章/人工処女受胎 (ハヤカワ文庫JA) 籘真 千歳 早川書房

スワロウテイル序章/人工処女受胎 (ハヤカワ文庫JA)

スワロウテイル序章/人工処女受胎 (ハヤカワ文庫JA)

「種のアポトーシス」という疫病に冒された人々を男女別に隔離するメガフロート「東京自治区」を舞台にした、人間に寄り添うために創られた「人工妖精」たちの物語。
序章とあるように前二作の前日譚にあたる今作は、舞台を全寮制の看護学校、通称「五稜郭」に移し、主人公である揚羽の学生時代がえがかれる。青色機関の末梢抗体として、そしてリリアン女学園ばりの全寮制お嬢様学校のお姉さまとして、揚羽は人工妖精にまつわる事件に巻き込まれていく。
ジャンル的にはSFミステリ学園百合コメライトノベルとでも言ったらいいんでしょうか。舞台設定も登場人物も濃いお得な一冊となっております。シリーズ三作目ですが、まずこちらの序章を読んでから、一作目「人工少女販売処」を読んでもいいかもしれません。

雪柳かわいい超かわいい。

猫にはなれないご職業 (ガガガ文庫) 竹林 七草

猫にはなれないご職業 (ガガガ文庫)

猫にはなれないご職業 (ガガガ文庫)

おっさん臭い猫又が主人公の陰陽師物。
陰陽師の家系ではあるけれど一般人として育てられた桜子を、先代によって封印されていた八尾の妖狐が力欲しさに付け狙う。先代の相棒だった猫又のタマは、彼女の友人である普通の女子高生である命(みこと)の協力を得て、桜子を妖狐から守るために立ち上がるのだった。

渋いおっさん口調のタマ、そして腐女子で残念な嗜好いや思考の持ち主でもある命の複数視点で物語が語られ、そのメリハリがしっかりしていて楽しく読めます。また、陰陽師物ではあるけれどタマには絶大な力はありませんし、あまりバトル物っぽくはなく知識を以てして挑むような展開になる部分も好印象でした。

好みにハマリすぎて思わず単体で感想を書いてしまうほどでした。こちらもどうぞ。→ 猫にはなれないご職業(ガガガ文庫) - いさぢちんメモ

伝奇ものでは今年一番の作品。

デキる神になりますん (ファミ通文庫) 森田季節

デキる神になりますん (ファミ通文庫)

デキる神になりますん (ファミ通文庫)

引きこもりでネット廃人の神様「くらがりさま」が寂れた温泉街を復興させようと奮闘したりしなかったり引き籠もったりする話。
神様ではありますが、この世界では異世界からやってくる人間の上位存在のようであり、人とあまり変わらない存在として書かれていて、期待していたような人外と人との意識の違いや距離感に悩むような話には全くならず、どこまで行ってもほのぼのなお話ではありますが、そんなことはどうでもよくなるくらい、くらがりさまが可愛い。とにかく可愛い。ネット浸けで引きこもりな残念思考から飛び出すネットスラング、くらがりさま語録の数々に笑いが止まりません。

森の魔獣に花束を (ガガガ文庫) 小木 君人

森の魔獣に花束を (ガガガ文庫)

森の魔獣に花束を (ガガガ文庫)

名家に生まれた病弱な少年が、家を継ぐための試煉として人食い魔獣が棲むといわれる森へと向かい、そこで魔獣の少女と出会う。はじめは少年の描く絵の物珍しさから何となく生かしていた少女、少女に食べられないよう顔色を窺いながら共にあった少年、そんな彼らであったが、次第にお互いを思い合う気持ちに目覚めていく。

おとぎ話のように優しく切ない、時としてちょっと残酷な、そんな素敵なファンタジーでした。「ミミズクと夜の王」が好きな人におすすめしたい。

うちの魔女しりませんか? 3 (ガガガ文庫) 山川 進

うちの魔女しりませんか? 3 (ガガガ文庫)

うちの魔女しりませんか? 3 (ガガガ文庫)

人間に似ているけれど人間とは異なる種類の生物「魔女」がかつて存在していた世界。ひょんな事から絶滅したはずの「魔女」の生き残りと出逢い、そして別れを経験した主人公が、魔女を探して遠い異国で行方不明になった父親を探して旅立ち、そこで再び魔女に出逢う。

僕の中では傑作中の傑作としてその地位を不動の物としている「うちの魔女しりませんか」シリーズの第3巻にして1巻の後日談。
1,2巻では作中世界の一般常識として「魔女」は絶滅危惧種であり保護すべき生物とされていましたが、3巻では「魔女」が忌避されている異境の地が舞台。「魔女」と呼ばれ不幸な境遇にあえぎ心を固く閉ざした少女が、主人公と出会ったことに次第にその心を解きほぐし自分の居場所を見つけていく、そんなストーリー。

友達からお願いします。 (MF文庫J) 清水マリコ

友達からお願いします。 (MF文庫J)

友達からお願いします。 (MF文庫J)

表紙とタイトル、あらすじからあんまり期待はしていなかったけれど、清水マリコさん久々のMF文庫Jからの作品だし読んでみようか、と思ったら想像以上にマリコ作品だった。みたいな。

ありきたりな日常へ非日常がゆっくりと侵蝕していくような、現実感が希薄な白昼夢の中を手探りで歩いているような従来の作風ではないけれど、廃線になるモノレール、遠くの草原に一瞬見える「横顔さん」、そこで拾った謎の部品、冒頭の描写は日常の中の非日常の気配をうっすらと感じさせる。
そこから一転、ラヴでコメな方向へ結構な勢いで舵を切っている感がありますが、登場人物たちの痛々しい青臭さや黒歴史とも言える内面は流石の清水マリコさんと言ったところ。

イラストで避けてた「嘘シリーズ」ファンも安心してお読みいただけます。

飛べない蝶と空の鯱 〜たゆたう島の郵便箱〜 (ガガガ文庫) 手島 史詞

飛べない蝶と空の鯱 〜たゆたう島の郵便箱〜 (ガガガ文庫)

飛べない蝶と空の鯱 〜たゆたう島の郵便箱〜 (ガガガ文庫)

人の生活圏が、霧の上に浮かぶ「浮島」に限られた世界。危険な霧妖が棲む霧の海へ飛び込み、命懸けで島を渡り人の想いを封じ込めた「封書」を運ぶ武装郵便屋の物語。
風が読めず飛ぶのが苦手な主人公と、傷を負い飛べなくなった少女が、ともに空の最果て、霧の底を目指す。

くずばこに箒星 2 (くずばこに箒星シリーズ) (集英社スーパーダッシュ文庫) 石原 宙

くずばこに箒星〈2〉 (集英社スーパーダッシュ文庫)

くずばこに箒星〈2〉 (集英社スーパーダッシュ文庫)

廃遊園地を再利用した奇妙な学園、成績優秀者に超科学な機能が搭載された椅子が与えられるグレードチェア制度、そんな学園を創設した「クロニックデジャブ」――どんな新しい体験も、すでに過去それを経験したと常に感じる病――に冒された科学者でもある主人公の母親。SFチックで幻想的な舞台で、成績優秀者にして完全記憶能力保持者の主人公は、学園の問題児、クズと呼ばれる吹き溜まりの「おそうじ部」の面々と、学園の謎や行方不明の母親の手がかりを求めて奔走する。
席次にこだわり「おそうじ部」の問題児たちを見下してすらいた主人公が、クズと呼ばれながらも懸命にに生きる部の人たちと交流するにつれ、次第に心を溶かしていく。

そんな折、記憶を失い自身をメイドロボと名乗る少女と出会い、彼女の依頼でご主人様探しを開始。その一方で取り壊しが決まった蒸気機関車を守るために再び動かそうと機関車の修理を開始する。そんな無関係とも思える二つの事柄の間に浮かぶ、「物品に宿る記憶」の研究を行っていた母親の存在。記憶にまつわる事象が絡み合う感動の第2巻。

3巻はまだか。はやくしないとないようをわすれてしまいます!

わたしと男子と思春期妄想の彼女たち 4 リア充ですが何か? (ファミ通文庫) やのゆい

怪しげな虚無僧から授けられた謎のコンタクトレンズによって、男の子が妄想する理想の彼女が目に見えるようになってしまった中学生の女の子が主人公のラブコメディ。
妄想の彼女達を通じてクラスメイト達の恋を応援していた主人公のあすみですが、最終巻の4巻ではついにあすみの恋に決着が。
昔のリボンを読んでいるような気持ちになれるシリーズでした。
ところで、twilog検索したら読んだ当時こんな事書いてた。
星の瞳でたとえるのは乙女のバイブルだからです。だれが乙女だ。

ミニスカ宇宙海賊 9 無法の御免状 (朝日ノベルズ) 笹本祐一

ミニスカ宇宙海賊9  無法の御免状 (朝日ノベルズ)

ミニスカ宇宙海賊9 無法の御免状 (朝日ノベルズ)

何者かに襲われ救難信号を発する輸送船を助けに向かった弁天丸だったが、いつの間にか犯人は弁天丸という事にされていて、私掠船免状の召し上げ、挙げ句の果てには帝国から指名手配までされてしまい……。
登場人物の雰囲気が若干アニメ版寄りになったような気がしますが、グリューエルの無双っぷりは相変わらずの原作的な感じで。全体的なキャラの魅力の底上げ感のあった9巻ですが、なんか物足りないと思ったら僕の大好きなジャッキーの出番がないからだった。
でもベストにタイトルを挙げたのは、シリーズ通しておすすめだからです。アニメが楽しめたなら原作はもっと楽しめます。

去年の

去年はひと月ごとに読んだ本の中からおすすめを挙げていました。

*1:2012/12/28現在